株式会社ユニクロ
事例セミナー Bの第2部は株式会社ファーストリテイリング業務システム部部長岡田章二様より「ファーストリテイリングの業務システム~事業インフラ再構築におけるポータル環境の実現~」と題し、ご講演いただきました。

岡田様はまず、ユニクロのブランドメッセージを「ユニクロは、あらゆる人が良いカジュアルをきられるようにする新しい日本の企業です」と紹介され、ユニクロとしてどんなミッションやビジョンを掲げているのか、それを実現する方策とは何か、結果として目指すところはいかなるものであるかについて述べられました。

「ユニクロのビジネスモデルの根幹は、企画と生産と物流、販売を自社で一括コントロールすること、また社内に資産を極力保有せず、アウトソーシングにより高い資本効率を実現すること」であるとして、ユニクロの独自の取り組みについて紹介されました。

また過去 13期の業績推移を示したグラフを提示され、この間に起こったユニクロの東京進出や、フリースブームといった出来事について触れ、売上が急激に伸展した際にすべての事業インフラを大幅に拡大したこと、また「このブームの反動として2年連続で減収減益、売上としてピーク時の4分の3まで落ち込んだ。そこで今は収益性を確保するために、拡大した事業インフラをサイジングしているところ」であるとして現状を説明されました。ただし、「このままではユニクロは生き残れない。企業としては、成長し続けなくてはならない。またこれまでは国内での競争だったが、海外一流企業が参入してきている今、競争は国内だけでなくグローバル競争となっていく。そのためには、ユニクロの更なる成長戦略が必要だ」として、ユニクロの成長戦略へ至る経緯について説明されました。


>■ユニクロの成長戦略-「守り抜くべきもの」、「新たに創りあげるもの」
ユニクロの成長戦略の内容は目新しいものばかりではありません。「これまでの成功要因を再定義し、その上で成長していくための新しい取り組みを行っていきたい」として、「守り抜くべきもの」と「新たに創りあげるもの」とを明確にする作業から始められたといいます。経営理念や高効率経営、徹底したお客様・現場第一主義などは、今後も「守り抜くべきもの」として位置付けられました。それでは「新たに創りあげるもの」とは何か。ユニクロは「商品力の強化」「売り切る力の強化」「事業インフラの再構築」と大きく3つのテーマを掲げました。

たとえば「売り切る力の強化」について岡田様は述べられます。「商売力をつける上で、一番重要なのは人の育成だ。ユニクロ大学をつくり、その中で様々な講座を受講できるような場を設けたり、フランチャイズ制度も取り入れている。店長として終わるのではなく、一人の社長として店舗を運営していく、そんなことを目指せる環境なども制度として準備した」

また「事業インフラの再構築」においては、社内の業務とシステムのすべてをゼロから見直していくというG4プロジェクトについて紹介されました。


■社内の業務とシステムの見直し-G4プロジェクト
「いま稼動しているシステムは、 6年前に作られたシステム。当時は売上が500~600億の企業で、商品をつくって売るのではなく、仕入れて販売する会社だった」システムも、これに合わせて構築されており、現在の経営内容や販売規模を想定した作りにはなっていなかったために、現行のシステムは「付け焼刃的に」繋ぎ合わせて使用しているといいます。「システムとしてもとても複雑になっていたし、業務の内容も大きく変化した今、すべてをゼロから考え直す必要があった」そこでプロジェクトに着手することとなったのです。

G4プロジェクトの目的は、当初「SPAとしての優位性」「究極の利便性」「ローコスト化の追求」をテーマに掲げていました。企画・製造から販売までの全体最適を目指していくこと、お客様にとって究極に高められたサービスであること、継続的な低価格化の実現と、それを支える仕組み作り。これらの大きなテーマを具現化する構想においては、それぞれの工程でより詳細な目標を設定し、最終的に「計画する数量、生産する数量、販売する数量を商品の最小単位で一致させていく」ことを課題としました。

SPA:Specialty store retailer of Private label Apparelの略。自社企画ブランド衣料の専門店の意。素材調達から物流、販売までを一貫して手がけ、顧客の要求に効率的かつ迅速に応える事業モデルを指す。

ファーストリテイリング様とドリーム・アーツの出会いは、現在店舗で活用されている umix(umix:Uniqlo Merchandise and Marketing Information Complex)という、店舗における情報共有システムを共同開発したことに遡ります。構想ポイントには、「ユニクロのサービス」を実現するために店舗が自立し自らが商売を実践する、「店舗の自立」というテーマがありました。それまで本部からのさまざまな通達情報はカラーコピーで印刷・配布されていましたが、このシステム導入により整理された情報が画面上で確認することができるようになり、本部から全店への情報伝達は効率化され大きな成果につながりました。

この umixもすべてのシステムを見直すというG4プロジェクトにおいてリニューアルが検討され、今回INSUITE®Enterpriseにより新しいEIPシステムとして構築されました。基本的には本部向けのポータルとして開発され、ここで必要とされたポイントは、次の3つでした。
・全部署が商売に参加する!→全員が同じ数字を共有すること
・本部=Support Center→店舗を知ること
・業務、情報への入り口→強固なセキュリティ機能と利便性(シングルサインオン)

「全員が同じ数字を共有することに価値がある。本部はデザイナーや情報システム部門、経理などの専門家が集まり、みなそれぞれが違う仕事をしている。しかしそのアウトプットは店舗に向けられていなければならない。店舗の営業の数字を見ること、例えば昨日の売上などの数字を、全員が共有すること」そして「本部が店舗のことを知る。店舗の情報はすべて umixに集約されており、本部の社員は毎朝出勤したらまずこの情報を見る。なぜなら本部はサポートセンターであり、主役は店舗であるからだ」とした上で、更に「情報の入り口とするには、セキュリティもシングルサインオンも必要となる」と述べられました。


■何故、INSUITE®Enterpriseを採用したのか
では何故 INSUITE®Enterpriseを採用されたのか。これには4つの要因があったといいます。
・ユニクロが目指すポータルとしての具現性の高さ
・ポータルに必要な定性的な情報であるumixとの親和性が高い
・トータルコストが低く、短期間での構築が可能
・将来的な海外への展開にも対応可能な製品

「ユニクロが目指すポータルとしての具現性の高さ」について、岡田様は述べられます。「表現力が十分にあること、ユーザがストレスなく利用でき、直感的に操作できること」また「 umixとの親和性の高さ」についてはumixがドリーム・アーツにより構築されていたことで、シームレスな連携がとりやすかったことを挙げられました。「トータルコスト」「短期間での構築」については、「ユニクロのビジネスはまだ完成したわけではなく、今後も変化していかなければならない。これに伴ったシステムの改変コストや、将来の運用コストの面からも、なるべく負担を回避したい。これに簡単に対応できること」と説明され、「将来的な海外展開にも対応可能な製品」の点については、「海外展開を目指すユニクロにとって、そのまま海外で使えるシステムであること、これに対応可能だった」という4つの点でINSUITE®Enterpriseの採用に至った経緯を述べられました。

最後に、「これら G4プロジェクトの本当の意味での成果が判るのは、来年3月以降だと考える」とし、「改革を通してユニクロを再度、成長軌道に乗せていきたい」考えを述べて講演を締め括られました。

企業情報ポータル(EIP)製品 INSUITE®について

お問い合せ

DA Forum 2003 トップへ