
事例講演では、アスクル株式会社 戦略企画本部執行役員(兼)ビジネスシステム執行役員 内田洋輔氏より「ASKUL2.0を支える次世代協働基盤「シンクロワン」のご紹介」と題し、同社のワークスタイル革新への全社的な取り組みにおいて、弊社製品がどのような役割を担い活用されているかご紹介いただきました。
1997年の創業以来、急成長を続けているアスクル株式会社。その成長を支える原動力は、お客様の声にあるといいます。「すべての活動はお客様の声から。私たちのビジネスは、カタログ販売であるため、お客様が見えません。そのため、創業当初から会社の中心にコールセンターを配置し、お客様の声に日々耳を傾けることに注力しています。現在も数多くの電話でのお問合せをいただいています。」と内田氏。
“お客様のために進化する”というアスクルの企業理念の基盤となっているのは、徹底してお客様の声に耳を傾ける姿勢です。お客様の声を受け、さらに進化するイノベーションを生み出すため、アスクルでは、早くからICTを活用してきました。物流、サプライヤー、人材派遣、エージェントなど、アスクルのビジネスモデルを支える協力会社、パートナー企業すべてを大アスクルと位置づけ、スムーズに協働するための仕組みとして、これまでにシンクロカーゴ(配達サービス)、シンクロマート(マーケティング情報共有)、シンクロエージェント(営業支援)、シンクロハート(お客様の声を共有)などのシステムを構築してきました。

「創業から10年、これまではなんとかお客様に支持して頂き、成長を続けることができました」。しかし、と内田氏は続けます。今後デジタル化がますます進展し、環境型社会への対応や、お客様のニーズの多様化など、変化のスピードが加速する中で、いつでも、どこでも、だれにでも、欲しいときに欲しい場所に届けるように変わっていかなければ、お客様においていかれるのではないか、という危機感を非常に強く持っている、といいます。アスクルでは、2007年度から2009年度までを新しいビジネスモデルへの変革期と位置づけ、間接財やプロシューマー向け、個人向けにまで商材を広げ、さらに付加価値を提供しようと取り組んでいます。「そこで、変化する市場に対応するため、お客様により一層の価値をお届けするため、とにかく“お客様のために進化する”ためには、まず、社内の構造改革が必要だということに行き当たりました」。
内田氏は、アスクルの構造改革を実現するために大きく4つを定めたと説明します。まず、将来提供するべきサービスを描き、具体的に形にすること。そのためには、大アスクル全体で、「知恵を結集」する場が必要です。つぎに、考えたことを計画に落として、コミットとし、大アスクル全体で「見える化」すること。3つ目として、これは非常に重要なことですが、組織の体質を変えるために、社員の「絆」を強めていくこと。最後に、より安く・速くを追求し、「最適なオペレーション」を目指してしていくことです。
同時に、この4つの課題の解決を仕組みとして支えるシステムの検討を始めました。その当時、ドリーム・アーツから、“組織も人間と同じで、足腰がしっかりして、ワザが優れていて、強い精神力、高い志が必要。改革の基本コンセプトとして、心、技、体のバランスが取れた改革・進化が必要だ”との提案を受けたと語ります。「この提案には、まさに頭の中の霧が晴れた思いでした」と内田氏。

多くの企業は、「技」のことばかり考え、仕組み、仕掛けばかりに目が向きやすい。また、アスクルには、「心」の部分、志の高い人間が集まっている。次の時代認識や、やらなければならない課題は認識されている。であれば、アスクルの構造改革として、まず「体」の変革から着手しなければならない。「体」ができることで、「心」と「技」にも良いバランスが生まれるはずだと気づいた、と振り返ります。
システムの検討は、システム部門主導で、200項目近い比較項目表を作り、いくつかの製品を、検討したといいます。その結果、特に機能面、セキュリティ面、サポート面で、ドリーム・アーツが高い評価でした。「投資対効果を定量的に試算することはもちろん、実際に運用する上で、使い勝手の部分、全社員、パートナーを含めて全員が使え、皆さんが本当に一つになれるか、臨場感が持てるかを基準とし、最終的にドリーム・アーツの製品に決めました」。

アスクルでは、全社員、および協力会社、パートナー企業を含む1,000名以上が利用する次世代情報共有・活用基盤:“シンクロワン”に、“
内田氏は、シンクロワンの導入について、「何かツールをみんなのど真ん中に入れて、みんなでナレッジを共有したかった」と語ります。アスクルの社員はすべて中途採用のみ。様々なスキルやノウハウを持って集まってきています。加えて、協力会社、パートナー企業を含めた大アスクル全体ともなると、社内のチームワーク形成に苦労していました。「これまで、アスクルのビジネスモデル実現のために、シンクロシリーズという仕組みを作ってきました。そこで、はたと気がついたのは、それらを上手くコラボレーションする仕組みがない。そこで、全ての価値を一つにつなげたいとの思いで、シンクロワンと名づけました」。
続けて内田氏は、実際のシンクロワン(
「とにかく、コックピット化をしたかった。従来、掲示板、ワークフロー、精算システム、人事などばらばらに存在していたものを、会社・パートナーも含めて一目で把握できる状態にしたかった」と述べ、「まだ、全員が活用しきれているわけではありませんが、継続することで、遠藤先生のお話しにあった、よい“くせ”となるように始めたところです。まず、1年くらいで、全員がスタートラインに立てるように。3年後には、早い意思決定と最適なオペレーションができるようにじっくりと使い込んでいきたい。」と語ります。
内田氏は、順調な滑り出しができた要因として、システム導入に際し「何のために?」を徹底的に議論したことを一番に挙げます。「単なる社内イントラ、グループウェア導入、業務効率化ではなく、何のためかを考えた場合に、お客様に価値をお届けするための考える時間を確保することと、共通認識を高め、業務のスピードを高めることに目的を定めました」。
変化、進化し続けられる“スピード経営”を実現するための仕組みは、システムでできる。しかし、「知恵」を結集し、「絆」を強め、どれだけ正確な情報収集と分析を行って共有できているか、“組織の体質”がポイントです。「さきほど、遠藤先生が言っておられたように、いかに共通認識を持ち、協働を進めていけるか。人によっての温度差を極力なくし、よい“くせ”をつけていけるかが重要です。少しでも早く、より一層お客様にご満足いただける製品・サービスを提供したいと思っています。」と述べ、最後に、志を共にできるパートナーとして、ドリーム・アーツと協働できたことに感謝の意をいただき、講演を締めくくりました。