コクヨビジネスサービス株式会社代表取締役社長小嶋 浩毅氏より、「コクヨグループの変革を支える次世代ICT」と題して、ここ数年間のコクヨグループの取り組みをご紹介いただきました。

創業明治38年、ステーショナリー、オフィスファニチャーの製造販売をはじめ、オフィス空間を事業領域にビジネスを展開するコクヨ。2005年10月に創業100周年を迎え、新たなビジョン“Always Innovating For Your Knowledge”のもとで、次の100年に向けた歩を進めています。しかし、そこに至るまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。100周年を間近に控えた2002年、創業以来初の赤字決算を迎えたコクヨは大きな転換を迫られました。
「100年海に浮かんでいると貝殻がいっぱいついている。その貝殻が重くて、スピードが落ち、機動的な動きができなくなっているのではないか。」とコクヨ株式会社 代表取締役社長 黒田氏の当時の言葉を紹介しながら、「いままで積み重ねてきたものをすべて見直そうという動きが始まりました」と小嶋氏は語ります。
改革の取り組みとして、3つのプロジェクトがスタートしました。一つ目は、物流改革。二つ目は、コスト構造の改革。そして、三つ目となる事業構造改革として、コクヨは持ち株会社制への移行を決断しました。「持ち株会社制への移行は、組織が大きくなり意思決定が遅くなっていたため、事業のスピードアップを図ること。メーカー・販売店・お客様の流通3段階の構造で100年間やってきて結果生じたお客様との距離を縮め、もう一度顧客起点に立ち戻るため。そして、次世代の経営を担う人材の育成の3点が目的でした」。プロジェクトがスタートしてわずか2年後の2004年の10月、コクヨは持ち株会社制へ移行し、その1年後の2005年10月には、全社員が各事業会社へ転籍することで、分社化を完了しました。
現在、コクヨグループは、コクヨ株式会社を筆頭に、連結25社が所属しています。そのうち、小嶋氏が代表取締役社長を務めるコクヨビジネスサービス株式会社は、人事総務系の間接業務をシェアードサービスとして提供しています。その事業の中には、もともとのコクヨグループの情報システム部門であったITソリューション事業部があり、コクヨグループ全体のICTを推進する役割を担っています。

各事業会社への分社化という構造改革により、コクヨは、業務スピードの向上、顧客起点という機動性を手に入れることができました。その一方で、グループの方針を現場に徹底し、グループ全体の求心力を保つため、事業会社の壁を越えた情報とコミュニケーションを実現する新しい情報共有基盤が求められていました。新たな協業・コミュニケーション基盤を作っていこうという動きの中で、小嶋氏は、コクヨの新しいビジョンのもとで、新たなチャレンジをしようと決断したといいます。「コクヨのビジョン“Always Innovating For Your Knowledge”とは、私たち自身が進化していくことを意味しています。お客様に先んじてイノベーションを起し、それをお客様に提案すること。コクヨの社員全員がトータルオフィスサプライヤーとして、自らがイノベーションを実践することが求められているのです」。働く人、働く場所、働き方などの多様化が進む中、“だれでも、いつでも、どこから”でも、“安全に”情報共有できるオフィス、“生産性向上”と“付加価値向上”を実現するオフィスなど、コクヨは、進化し続けるITを活用した新しいオフィスのあり方に常に取り組んでいます。「ワークスタイルの変革が、私たちコクヨの命題であり、新しいチャレンジとして、10年以上使い込んだNotesをやめることを決めました」。
コクヨでは、4000人のユーザすべてにDBの開発権限を与え、Notesを徹底的に使い込んできた結果、DBが氾濫し情報の洪水状態となっていました。作られたDBの数は4000近く、毎日のようにDBが沸いてくる状況であったといいます。ユーザは、必要な情報がどこにあるか分からず、せっかくたどり着いたとしても、今度はその情報が更新されているものなのかが分からない。また、情報を記録する側からすると、本当に見てほしい人に伝わっているのか分からないままに、とりあえず情報を溜めこんでいた状況でした。
「運用コストの増大や、サポート切れの不安などで、Notesの利用は限界に達していました。解決する方法は二つしかありません。一つは、バージョンアップして、最後までNotesを使い続ける。もう一つは、Notesを捨てて違う環境に移行することです」。
新しい情報共有基盤の構築にあたっては、Notesではできないことを新しくできるメリットをより評価していく方針とし、ポータルを中心とした情報とコミュニケーションの統合、プッシュ型の共有、ウェブ化によるクラサバ型からの開放などを要件として製品の選定を実施。機能面、コスト面、サポート面の三点から比較・検討し、最終的にINSUITEの導入を決定しました。しかし、残されたNotesDBに対する解決策はいまだ決まっていませんでした。
「実はNotesのように自由なDB開発ができなくなることは、やむを得ないと思いながらも、ユーザを説得する答えが見つからないままプロジェクトが進んでいました。そんな中、ドリーム・アーツからひびきSm@rtDBという製品を開発して、WebでありながらDBによる情報管理を実現できるようなるとの提案をいただき、ユーザと共に製品を成長させようとする企業姿勢に共感しました」と小嶋氏。ユーザからの意見を聞き、その声を製品開発に取り入れるなど、ドリーム・アーツの積極的な姿勢を高く評価いただきました。
新しい環境や仕事の仕方を提案し続けるという意識をもって、経営と全部門を巻き込んで粘り強く進めてきたという小嶋氏。小嶋氏が実際に利用しているINSUITEとひびきSm@rtDBの画面を紹介しながら、グループ全社、事業会社、部門毎に最適化されたポータルや、お客様の声やトラブル対応などの品質管理から、業務報告、役員会など、現場から経営にいたるまでのひびきSm@rtDBの活用例など、コクヨグループで使われている事例を詳しく紹介いただきました。

本社にはITに関して問題意識の高い役員が多く、非常に良い環境になってきているというコメントも寄せられるなど、導入から2年を経てあるべき姿として想定していた使い方、環境、仕事の仕方などが、できるようになってきた実感があるといいます。
「Notesも10年使っていろいろと問題がでてきました。同様に、INSUITE、ひびきSm@rtDBも利用し続けることで、これから課題がでてくるのだと思っています。ただ、それを後ろ向きに捉えずに、仕事の仕方を変えていく、それを実現するオフィスのあり方を変えていくという意識を持ちながら、ツールや環境を活用していくことが重要です。そのためにも、ドリーム・アーツのユーザの声に耳を傾けるという姿勢は非常にありがたく、また、これからも期待しています」と述べ、講演を締めくくりました。