


ノーツは現在のグループウェアの基礎を作った素晴らしいシステムだが、基本的な設計の古さや維持・運用コストの高さは否めず、他システムへ移行する企業が少なくない。使いやすいグループウェアが多く出揃い、さらにはクラウド型の製品も増えてきたことで、移行先の選択肢も豊富になり、移行が加速していると株式会社ドリーム・アーツ 営業統括本部 マーケティング部 副部長である山本明志氏は語る。
「ノーツユーザー企業・組織にとっての移行の傾向は大きく3つに分けて考えることができます。まず、メールやグループウェア、企業ポータルとして、ライト・ユースにノーツを使っていた企業。これらの多くは、既に移行を終えています。次のステップとしては、ワークフローや簡易DBとしてノーツを使っていたミドル・ユースの企業が移行を進めています。最後に、アプリケーション開発基盤としてヘビーにノーツを利用していた企業の移行フェーズへ進むと見ています」

ノーツは簡易DBや独自アプリケーションの組み込み機能を持ち、業務に必要なアプリケーションを現場レベルで開発、改良しながら利用できた。これはノーツの持つ大きな魅力だったが、多くのグループウェアにはそのようなアプリケーション開発機能は備わっていない。今の段階ではそれがハードルとなり、ノーツを使いこんできた企業ほど移行が難しいのだという。
ノーツをアプリケーション基盤として利用してきた企業には、多くのノーツ資産が蓄積されている。それらをWebアプリケーションなどとして再開発すれば莫大なコストが必要となるため、メールやスケジュール、掲示板のみを他のグループウェアに移行しても、ノーツのアプリケーションだけは残している企業もある。単純な機能だけの問題ではなく、社内の開発スキルやIT統制の面でも課題があるのだと山本氏は言う。
「もちろん、ノーツではなくても高機能なグループウェアなら、独自アプリケーションを組み込むこと自体は可能です。しかしそれには高度な技術が求められるので、社内で簡単に対応できるものではありません。また、ノーツ時代には現場主導でアプリケーションを作れたので、社内のアプリケーション全体を把握し、統制できる人がいないという課題がありました。その同じ轍を踏まないように、現場でアプリケーションを作ることに慎重になっている企業もあります」
DBやアプリケーションの統制の難しさは、ノーツが広く使われていた時代から言われてきた。誰でもDBを作れるため、どのようなDBがどのくらいあるのか、本当に必要で使われているアプリケーションがどれなのか、全体を把握するのは難しい。高いレベルでIT統制を求められる現代の企業として、より統制力のある環境を求めざるを得ず、そのために移行のハードルはまた高くなる。